執事の仕事のひとつとして『送迎』というものがあります。
単純に運転手として主人を目的地までお送りしたり、友人の方をお迎えに行ったりします。
その他送迎とは少し違いますが、荷物を取りに行ったり、忘れ物を届けたりなんてこともします。
運転手という仕事自体はタクシーを使われる方も多いので想像しやすいかと思います。
とはいえ執事を雇うようなお金持ちの方がどんなところへ行くと思いますか?
- どんなところへ送迎するの?
- どんな車に乗っているの?
- 特殊な送迎ってあった?
このような疑問にお答えしていきます。
この記事を書いている私は現在執事歴3年のリアル執事です。
お金持ちの生活や執事生活の一部をご紹介をしていきます。
どんなところへ送迎するの?
これは日常的な部分です。
私の主人は自らの趣味や運動以外で歩いたりすることはほとんどありません。そのため、日常生活での移動は必ずといっていいほど車で行います。
たぶんこれはどのお金持ちにも共通するのではないかと思います。
空港
仕事で海外や地方に行くとき、旅行に行くときですね。ただ空港に行くだけではなく、最短ルートを構築します。
飛行機は便名から発着ゲートを調べることが可能なので、そこに一番近い駐車場やエレベーターの位置を事前に調べておきます。また、到着時間は意外と前後するので常に調べておいて主人のほうが先に到着して待っているというようなことは無いように心がけます。
なお、なぜか空港での送迎を行っていると他の利用客の方から道を聞かれたり、ゲートを聞かれたり係員に間違えられます。しかも事前の下調べが功を奏し、大体のことが答えられるためそれを見た他の人がさらに聞いてきたりもします。
頼られるのはとても嬉しいことですが、どのタイミングで係員でないことを伝えるか迷います。
ホテル
これは宿泊だけではなく、レストランやショッピング、仕事の打ち合わせと何かと利用頻度が高いです。
主人から聞いた話だと、日本だと施設の目の前まで車で行けるところが少ないので、結果的に入り口のすぐそばまで行けるホテルになりがちとのことです。
車の乗降ができる場所を車寄せと言いますが、この車寄せでのホテルの方の対応で良いホテルかどうかの判断ができるようになってきました。
スパ・マッサージ・ジム
主人はスパやマッサージ、ジムなどリフレッシュする時間を大切にします。お金持ちあるあるだというのもあるかもしれませんが、健康に気を遣うためこちらもそれなりの頻度で行きます。
ここは良かった、ここは悪かった等の評価をお迎えのときに聞くことがありますが、その評価の内容がサービス業出身の私としてはとても勉強になります。
例えば施設の設備面だと、手入れされているかどうかをかなりよく見ています。壁の塗装で剥げているところは無いか、物販に陳列されているものにホコリが被っていないかなど。
サービス面においては、ちゃんと自分が大切にされているか、というところに対して敏感です。一流のサービスを受けなれている方ですから、よくわかってしまうそうです。
残念ながら日本では一般に高級店と言われているお店のほうがサービスが良くないそうです。『高級店で働いている私』という感覚がそうさせてしまうのかもしれません。
リフレッシュのために行っていても、常にそういう視点を忘れない姿勢というのが自らの事業がうまく行く方の特徴なのかもしれません。
デパート
これはホテルに行く理由にもなっていますが、車寄せがあるのでデパートに行くことが多いです。
主人とそのご家族の方は、皆様が揃っていると買い物にいったり、家で食事を作られたりとすることもあるのでそのときに行くのは専らデパートです。
この執事という仕事に就いてからデパ地下の食品売り場に行くことが増えましたが、なんというか、値段設定が浮世離れしていて感覚が壊れそうです。
例えばトマトが5個3000円で売られていたり、キャベツが1玉698円だったり、じゃがいもが1袋(4つ入)で498円だったり。
庶民感覚からするとわけがわかりません。

見てくれ。
トマトが5個3000円で売られている。これはさすがに高すぎる。
と、言いつつ6個1200円のトマトを手にとって買う主人を見て『やっぱりお金持ちなんだなぁ』と認識を新たにすることが多々あります。
どんな車に乗っているの?
現在私が送迎用に乗っている車は室内空間の広さ、特に後部座席の空間が広いという理由でミニバンです。
これは私が執事になったタイミングで購入したものなのですが、この選び方と購入までが一番カルチャーショックでした。
最初に送迎車にしたいと言われたのはベントレーでした。
いまは販売終了してしまいましたが、ミュルザンヌというモデルでした。
ミュルザンヌ(Mulsanne )はイギリスの自動車メーカーベントレーが販売していた高級車である。名前はル・マン24時間レースで5勝したことに代表されるベントレーのレースの歴史に由来する。ミュルザンヌはル・マン24時間レースで使用されるサルト・サーキットの最も長いストレートであるユノディエールが終わった南端にある、右直角カーブの名前である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%8C_(2010)#:~:text=%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%8C%EF%BC%88Mulsanne%20%EF%BC%89%E3%81%AF%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE,%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AB%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82
ミュルザンヌ
新車価格: 3470~3945 万円 2011年1月1日発売~2020年12月販売終了
https://kakaku.com/item/K0000082015/
庶民の私からしたら、3000万を超える車とかちょっとしたマンションが走っている感覚です。
意味がわからなさすぎて反応できませんでした。
しかも主人がこれがよかった理由というのが、単に乗り心地が良い、という理由だけでした。
幸か不幸か、日本の家の車庫にはベントレーミュルザンヌを停めてしまうと来客者用の駐車スペースが確保できなくなるという理由で不採用となりました。
このときは本当に一安心でした。
そして次なる車を決める、という話になったときに主人が言った一言がこちらでした。

あれに乗れないなら、後部座席が広ければなんでもいいよ。
あとはまかせる。
ということで、同じベントレーでも違うモデルではダメらしく、本当になんでも良かったようです。
いろんなメーカーに連絡をして、試乗車を持ってきてもらい試乗する中で、最終的には天井が高い、窓もそれなりに大きくて見晴らしがよい、後部座席が広いという室内空間の広さと乗降のしやすさが決め手となってミニバンとなりました。
これで車選びも終わって一段落、と思っていたのもつかの間、その場で現金を出そうとする主人。
慌てて私と自動車ディーラーの営業の方が止めました。
どうやら海外では自動車でもその場で購入すればそのまま乗り出せるそうです。
完全に文化の違いを感じるとともに、ミニバンとはいえ数百万するものをその場で現金で買えるあたり、お金の感覚の桁が違うなぁと『差』をしみじみと感じました。
特殊な送迎ってあった?
歩いたほうが近いコンビニへの送迎
意外にもコンビニをよく使う主人とその家族。
距離で言えば200mくらい歩けばすぐそこにコンビニがあります。歩いても2〜3分というところでしょう。しかし、歩きたくないということで車を使います。
車で行くと一方通行などの事情により5分かかります。車のほうが時間がかかってしまうのに、それでも必ず車です。
割と時間にシビアで無駄な時間を使いたくないという主人なのですが、ここだけは時間がかかっても車でいくというのは、何かこだわりがあるのでしょうか。
3年経ったいまでも謎です。
突然のアウトレット
朝一で連絡が来ていると大抵アウトレットに行きます。
決まったアウトレットがあるわけではなく、なんとなく今日はここ、今日はここ、というようにランダムで行くことが多いです。
私のような庶民からするとアウトレットに行くというのは休日を1日使えるイベントです。
家族総出で朝行って、昼食や夜ご飯もアウトレットやその周辺で食べて、夜に帰ってくるという1日過ごす。こんな感じじゃないでしょうか。
主人たちの場合は朝早めにいって、下手すると昼前に帰ってきます。もしくは途中でどこかお昼を挟んで近くのアウトレットにさらにはしご、というようなこともあります。
なんというか、まったく特別感がないアウトレットのお買い物でした。
昼食を食べに山や海へ
そばを食べに清流のある山へ、魚を食べに漁港へ、ということがまれによくあります。
雰囲気を味わいに行きたくなるそうです。
そのまま温泉へ
そして少し遠方までお昼を食べに出ると、そのまま帰ることが面倒になるようでそのまま温泉に行くことがよくあります。
近くの温泉に温泉に向かう間に、そのままその日のホテルや宿の手配もして、そのままお泊りになることが多いです。

ありがとう。
私はこのままここで温泉に入って、泊まっていくから明日14:00頃に迎えにきてくれ。
ということで、そのまま温泉地を尻目に私は帰還します。
執事になってから、普通なら旅行で行くような場所に幾度となく赴き、滞在時間ゼロ分で帰ることが増えました。
まとめ
ただの送迎ひとつとっても、価値観が違うので新鮮なことが多い仕事となります。
やっていることは車の運転なのですが、次にどこにいくか予想がつかないこともあって、飽きることがありません。
また私自身運転が好きなのかもしれない、ということをこの執事になって初めて気が付きました。
長距離運転をしても苦にならず、むしろ次はどこにいくのか楽しみになってきましたね。
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